淡雪恋話
――あ、じゃあ、私にも年賀状が?
『……みいちゃんの、年賀状には、何て、書いて、あるの?』
同じ疑問をケイちゃんも持ったらしい。
「ちょ、ちょっと待って下さい……」
私は手元にある年賀状の束を、一枚ずつ確認していく。そして、見覚えのある筆跡で、五月ちゃんからの年賀状を見つけた。
涙を堪えて、震える手で裏側を見てみる。
『新年、明けまして、おめでとうございます。
みいちゃん、元気かなあ?
えーと、多分みいちゃんがこれを読んでいてくれている頃、私ってとっても微妙なところにいると思うんだよね(笑)。
前にもお願いしたけれど、やっぱりみいちゃんにお願いしとく。
隆志の事、よろしくお願いします。
あ、もしも生きていたら、クラスメイトみんなで初詣に行こうね!
みいちゃんの親友(のつもりだよ) 五月より
あ、そうそう、クラスのみんなと仲良くしてあげてね。本当はみんな、みいちゃんと仲良くしたいんだよ。でもみいちゃんいっつもマジメ~にしているから話し掛け難いだけで(笑)。
本当はみいちゃん、可愛いんだからね』
「五月ちゃん……!」
涙がとめどなく溢れた。ただ悲しいんじゃない。
こんなに私の事を心配してくれていたんだ!
本当に私の事を思ってくれていたんだ!
ただの友達じゃなくて、親友って言ってくれたんだ!
こんな短い期間しか一緒にいられなかった、何もしてあげられなかった、こんな私を!
五月ちゃんは!
私は電話口で泣き叫んだ。
それを電話の向こう側のケイちゃんは、必死になって慰めてくれた。