淡雪恋話
年が明けて、冬休みも終わり、新学期が始まった。
私は前と変わらず、一人で過ごしていた。隆志君はあれから学校に登校していない。
私は毎日を何事もなく過ごしている。
ただ隣にいるはずの、五月ちゃんがいない。
その違和感を除いて、前のままだ。
少しでも彼女の事を考えると涙が溢れてしまう。それを繰り返して、私はただ毎日を過ごしていた。
時の移ろいの中で、彼女は少しずつ変わっていく――
ただ悲しいだけの思い出は、少しずつ楽しかった事だけを残して薄らいでいく――
それが人と言う種の罪であり、そして人と言う種の希望なんだろうと思った。
意を決して、私はケイちゃんに話し掛けた。
「ケイちゃん、ちょっといいですか?」
「え? あ、あたし? いいけど……」
ケイちゃんは私の前の席に座り、訝しげに私に問う。
「どうしたの? 寂しくなっちゃったの?」
「あの、ケイちゃん隆志君と五月ちゃんの出逢いって知っていますか?」
目を白黒させながらも、ケイちゃんは「うん」と応えて、二人の出逢いを教えてくれた。