淡雪恋話
「みいちゃん?」
呆然としていた私に、訝しげな五月ちゃんの言葉。私は「はっ」として、慌てて返事をした。
「あ、は、はい、いいですけど……」
どうして突然、私なんかとお弁当食べようって思ったんだろう? そう思ったんだけど、言葉には出来なかった。だって、折角「一緒に食べよう」って言ってくれているのに、その好意を蹴るのは失礼だと思うから。
「隆志はこっちの机。で、私はこっちね」
五月ちゃんは、近くの机をくっつけて、三人での昼食スペースを作った。
五月ちゃんって線が細いのに、行動力があるんだ……。
三人でお弁当を開く。五月ちゃんと隆志君のお弁当箱は、恋人同士らしく同じ物の色違い。お弁当の中身は勿論一緒だった。
私のお弁当は私の手作り。お母さんは夜の仕事をしているから、朝は熟睡しているし、お父さんは小学校の頃に事故で死んじゃっていたから。