その手を離さないで
「何だよ?」
「こんなの、やっぱ嫌。練習なんて、蒼ちゃんと出来ない」
「未来にとって、オレは親友の彼氏だから?」
「もちろん、それもあるけど…」
まさか、“好きだった”なんて言えない。
「他にも理由があるんだ?じゃあ、練習じゃない。本気でキス、しようぜ」
「そんな…」
蒼ちゃんの本心が、全然分からない。
それなのに…。
「早く、目を閉じろ」
その言葉に、何であたしは目を閉じたんだろう。