その手を離さないで


――高校三年生の春。



「貴志(たかし)、好き」



「未来は、いつもそう言うよな?」



「だって、好きなんだもん。いいでしょ?」



お昼休みの屋上は、あたしと貴志の貸し切り。



ここは、ほとんど人が来ないんだ。




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