その手を離さないで


「あたしね、蒼ちゃんとキスしたの。貴志とは出来なかったキスを…」



「……」



「何で、貴志とキス出来ないかが分かったんだ」


「オレの事が、好きじゃないからだろ?」



「ううん。違う。蒼ちゃんの方が好きだから」



貴志の事は、ちゃんと好きだったもん。



でも、それは、まだまだ未熟な“好き”だったのかも…。



「何だよそれ」


貴志は、少し開き直った様に、あたしを見て笑った。




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