その手を離さないで


個室だから、部屋の中は、機械の音しかしない。


「寂しいよね?一日中、ここにいるなんて」



あたしは、蒼ちゃんの側に座って、いつもみたいに手を握る。



「こんなに、あったかいのになぁ…」



ちゃんと、生きてくれてるのに。



それなのに、蒼ちゃんは口をきいてくれない。


先生からは、このまま植物状態も、覚悟する様にって言われたんだよね。


「でも、あたしは信じてるからね」




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