その手を離さないで


夕方になり、病室には西日が差し込む。


逆光で、蒼ちゃんの顔はハッキリ見えない。



それでも、あたしに怖い顔を向けてるのは分かった。



「頼むから、出てってくんない?」



「待ってよ蒼ちゃん。話しさせてよ」



「出てけって言ってんだよ!」



イライラしながら、蒼ちゃんが投げつけた時計が、あたしの腕に当たった。



「いたっ」




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