恋色語
何?もじもじして。私らしくない。でも片桐と目を合わせられない。


「俺にしたことと同じ事してやる」

「ほぇ?ぅっ!?」


うつむいた私の顎に人差し指をそえて優しく持ち上げてきた。

バチっ。目と目…アイコンタクト。


「ちちちちょっと」


思わず後ずさった。

頬が温かい。これはぽかぽか気持ちいい太陽さんのせいじゃない。


「…ほらよ」


散乱した私の荷物をまとめて手渡してきたので受け取る。

うまく言葉がでない。だって初めてだったんだから。


「ああああありがと」

「どういたしまして」


冷やせ、とりあえず冷やせ。スー…ハー。少し落ち着いた。


「あとさ、とっさにかばったつもりだけど…すまん。赤くなってる原因だったら謝る」

「いいって。むしろ暴れかけた私が悪いし、あのままなら見つかってた」


論理的に見ればそう。でも、かたや片桐は何事もなかったかのように、澄ました顔で晴天を見上げている。
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