やさしい手のひら・前編【完結】
「亜美落ち着け」

私の手首を掴んで、私を抱き寄せた

「何も考えるな。今俺はここにいる。ちゃんと俺に触れろ」

凌は私の両手を持ち、凌の頬を触らせた

「なっ、いるだろう。ちゃんと亜美のそばにいる」

見つめ合う凌の目を見て、ハァーハァーと呼吸を落ち着かせた

ハァ、ハァ

ゆっくり背中を擦ってくれる
私の呼吸が元に戻っていく

「亜美もう忘れろ。怖かったのは分かる。でもあの日のことに縛られるな」

「凌…」

私は大声で泣いた。凌の胸でたくさん泣い
凌はずっと抱き締めてくれて
その安心感からか久しぶりに夢の中へスッーと入っていった

寝ている私を凌は見つめ、手を離さずにいてくれた



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