やさしい手のひら・前編【完結】
クラス順に整列し、校長先生の長い話が始まった

私の前にいる由里が

「ねぇ、2年の方にいる、あの一番背が高い人、かっこいいと思わない?」

「どこ?」

私と由里は2年生の方に向きキョロキョロと探した

「あれ?」

「なに?知ってる人?」

「健太くん…」

あの日、
私を助けてくれた健太くんが由里が言うかっこいい人だった
健太くんが中学に来た日から
私は健太くんと会うことなく、
教えてもらったアドレスにメールをする訳でもなく、
今日まで来た

「へーあれが川崎健太ねぇ」

「あの顔はモテるね」

確かに健太くんはかっこいい
それ以上にかっこ良くなっていて、
私もびっくりした

「あとで挨拶しに行こう」

「由里には坂下がいるんでしょ」

「そーだけど、かっこいいんだもん」

校長先生の話も終わり、
訳のわからない人達の話も終わり
私達1年生は退場となった

歩いている途中、

「亜美」

知らない声が聞こえ、
声の方に振り向いて見ると健太くんがニコッと笑い、手を上げた

私は軽く頭を下げた

この静けさの中、
健太くんが声を出したので目立ってしまい
恥ずかしくなり下を向いて歩いていた

その時、凌が突然隣に現れ

「あれが健太って言う人?」

「あっ…うん」

「ふーん」

凌はちょっと機嫌を悪くしたようで

「何もないから」

私はそう言って凌の手を握った

凌は健太くんのことを気にしている
だから関わらないようにしようと決めた



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