やさしい手のひら・前編【完結】
教室に戻り、男の担任の先生が自己紹介を始めた

亜美とは席が離れてしまい、
退屈な時間を過ごしていた

「ねぇ彼氏いんの?」

隣の男が私に話し掛けてきた
長めの前髪の隙間から見える目はキリッとしていて、
ちょっと怖そうな感じの人だった

「は?いきなり何?」

「いや、友達が見て一目惚れしちゃったみたいでさ。たまたま隣に慣れたから聞いてみた」

「いるよ。B組に」

「どんな奴?」

どんな奴と言われてもなんて言っていいかわからなくて

「普通の人」

私はそう答えた

プッと笑って

「なんだよ普通の人って」

「だってなんて言っていいか、わからないじゃん」

「そうだな。あっ、俺悠斗。岡田悠斗(オカダユイト)ね」 

「私は福田亜美。よろしく」

お互いの自己紹介が終わったあと、
今日はこれで終わりということで下校することになった

「亜美帰るぞ」

凌が迎えに来た

「へーかっこいいじゃん」

隣の悠斗が小声で言った

「でしょっ」

私は言われた事が嬉しくて
ニコッと笑い凌のいる廊下へ行った



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