やさしい手のひら・前編【完結】
私の健太くんへの気持ちは凌の変わりとかじゃない
健太くんは私が襲われた日からずっと私を見ててくれた
凌とのことも知っているのに、
それでも私のそばにいてくれた
私も健太くんを必要としている
だから凌とのことは今日ここで封印しよう。いい思い出として・・・

「健太くん・・」

「亜美、俺があいつを忘れさせてやる」

そう言った瞬間、胸がギュッとなり、また涙が伝う

「私、ちゃと健太くんを見てるよ」

「俺がどれだけ亜美のこと好きかわかるか。何度も無理やりでも本郷から奪ってやろうかと思った。でもそれは亜美にとって幸せなことじゃなくて、苦しめるだけで。振り向いてくれなくてもいい。だから辛い時は俺が支えようって。そう思ったんだ」

「私・・私・・」

「何も言うな」

健太くんは強く私を抱きしめる

「2人で幸せになろう」

私は胸から顔を離し健太くんの顔を見た

優しい眼差しで私を見ていてくれる
いつも健太くんはこうやって私を見る

健太くんの両手が私の頬を包み込み、
私達は熱い日差しの下キスをした

さようなら・・・凌。私はこの人と幸せになります



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