やさしい手のひら・前編【完結】
私が1人考え事をしているといつの間にかバスが着ていた

その時

ギュッ

本郷が私の手首を掴んだ

「えっ?何?」

私はびっくりした顔で本郷の顔を見た

「お前、ボケっとしてるから、バス出るとこだったんだぞ」

「あっ、ごめん」

きっと今の私は顔が真っ赤だと思う。恥ずかしくて目線を下に落とした

私は本郷に2人シートの窓側に座らせられた

隣に本郷がいる

肩と肩が触れている

バスが曲がるたびにお互いの体が曲がる逆側に傾く

心臓に悪い。
私の心臓の音が本郷に聞こえていないだろうか
気になって仕方がなかった

後ろにいる由里を見ても2人の世界

由里が私に気付いて怪しい微笑みをした

坂下までもが怪しい微笑みだった

私は窓を見ていた

隣の本郷はいつの間にか眠っていた

長いまつ毛。今風のワックスで立たせた髪
私はこの人のすべてが好きだ

そう改めて思った



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