やさしい手のひら・前編【完結】
私を床に座らせ、私の前に健太くんが座った

「落ち着いたか?」

「うん。嫌な思いさせてごめんね」

「待ってる時さぁ、めちゃくちゃ不安で。このまま戻って来なかったら、どうしようって思った」

「嫌だったよね・・・」

「でも、もし戻って来なかったとしても、それは亜美の決断だから俺は何もいうつもりはなかった。もしあっちに戻っていたら俺が思う気持ちより、亜美があいつを思う気持ちの方が大きかったってことじゃん」

「ごめ・・ん・・・なさい」

「泣くな。こうやって亜美がここにいるだけで嬉しいから」

私はこんなにも健太くんを悩ませてたんだ

「私はこれから健太くんと一緒に幸せになる」

「そうだな」

泣いている私の頭をよしよしと撫ぜてくれる
その手が優しくてよけいに涙が出てしまう

「いつまでも泣かない」

「ギュッってして」

私は健太くんにはどうしても甘えてしまう

健太くんは私を抱きギュッっとしてくれた

「よし、もう泣きやんで風呂入れ」

「うん」



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