やさしい手のひら・前編【完結】
「帰る」

と、健太くんが迎えに来たので
私は小走りで健太くんの所まで行った

「聞いて、聞いて!うちのクラスね。メイド喫茶になってね、私と由里メイドになっちゃったんだよ」

「まじ?俺見てぇ」

「来ないで、絶対来ないで」

恥ずかしい格好なんて見られたくないもん

「来たら口きかないし」

「お前、最近生意気」

私のおでこにデコピンした。それがかなり痛く、涙目になる

「痛ーい」

ハハハハッと笑っている

そんな姿を廊下で坂下と喋っていた凌が見ていた

健太くんはそれに気付いたのか、私の手を握り真っ直ぐ前を見て歩いた

凌の視線がこっちを見ていることがわかる
だからと言ってどうにかなる訳でもなく、私達は凌を通り過ぎた

こういうことに早く慣れないといけない



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