やさしい手のひら・前編【完結】
クリスマスの前日、今日は終業式
午前中で学校が終わる
そのまま健太くんとライブハウスに行くつもりでいた

「外で違う高校の人呼んでたよ」

と、知らない男の子から言われた
誰なのかわからなくて、
行くか悩んだけど取り敢えず行ってみようと思い、
私は一人で外に出た

周りを探して見ると他校の女の子が私を呼んでいた

「あんたさ、健太の」何?」

いきなり言われた。私よりちょっと背が高く、
ストレートの茶髪に短いスカート。きれいな顔をした人だった

「彼女だけど」

「私さ、健太と中学の時付き合ってたの。お互い高校が離れて連絡取らなくなってさ。昨日マックの前でアンタ達見て、私達ちゃんと別れてないって気付いたの。だから別れてくんない?健太すごいかっこよくなってて、またやり直したくなったの」

ベラベラと喋り出したことに腹がたったことと、今更また付き合いたいと言ったことに私はキレた

「は?今更何?何年前のこと言ってんの?」

「私、健太の子供堕ろしたの。責任取ってほしいと思ってる」

子供?いつの話なの?

「どう?同じ女としてかわいそうだと思わない?」

何も言えない。頭の中が真っ白になって、
どうしたらいいのかわからない
でも黙っていてもだめだ

「今になって言ってきてもどうしようもないんじゃない?」

「私もう子供産めないんだよね」 

その一言で、何もかもが崩れた音がした

私も同じ立場だったらそれは悲しいことで…

「明日のクリスマスは最後の夜を過ごしていいわよ。でもクリスマスが終わったら健太を返して」

そう、言って私の前から消えた

何がなんなのかよくわからなくなり、
その場から動けなくなっていた



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