やさしい手のひら・前編【完結】
後ろから、

「亜美」

と呼ぶ声。振り向いて見ると…凌だった

どうしてこういう時に現れるのだろう

「具合悪いのか?」

お願いかまわないで…

「大丈夫、なんともない」

「川崎さんと何かあったのか?」

なんでこうなるの?なんで私は幸せになれないの?

我慢していたのに涙が溢れ出す。凌の前で泣きたくなくて、空を見上げた

「なんで泣くんだよ」

私の腕を引っ張った

「ほんとになんともないの!」

私は走って、凌から逃げた
学校に鞄を忘れてしまい、私のポケットには携帯しか入っていない
由里に調子が悪いから帰ったことと、
鞄を預かってほしいことをメールしておいた

街は明日のクリスマスのため騒がしく、そして私にはそれがうるさかった



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