やさしい手のひら・前編【完結】
海では泳いだり、砂浜で遊んだり、普通に本郷の隣で笑っていられた

二人で昔の話をしたりして盛り上がった

そんなことをしていたらすっかり夕方になっていて、
心地よい風が吹いていた

「あれ?由里達は?」
「…帰った」

「なんで私置いてかれたの?ひどすぎ」

私はかなりショックだった

「俺が帰れって言った」

「なんで?」

「あのよー」

本郷が私を見た

私はすぐに本郷の方を向いて話を聞いた
私達は砂浜に座り、向かい合わせになり、砂の山を作っていた

「俺が転校して来た時、お前佐藤と入り口にいたよな?」

「うん、いたよ。由里が転校生見に行くって無理やりね」

「俺、その時初めてお前見た」

私と同じだった。!私もあの時初めて本郷を見た

「その時……から…」

私は本郷の問いかけに首を傾けた

「やべっ」

本郷はそう言ってまた手を口に持っていった

私は本郷を焦らせずに、黙って話を聞いた
本郷の一つ一つの仕草を見ながら……



< 20 / 387 >

この作品をシェア

pagetop