やさしい手のひら・前編【完結】
健太くんのマンションに着き、すぐにお風呂にお湯を入れてくれた

お湯が貯まる間、私がコーヒーを飲めないのでミルクティを作ってくれた

「おいしいね」

フッ、と健太くんは笑った

さっきまであんなに寒かった体が温まる

「風呂入れるぞ」

「あっ、うん」

「一緒に入るから」

そう健太くんが言う。まだ一緒に入るということに慣れていなくて、やっぱりドキドキしてしまった

私は先に服を脱ぎ少しでも見られたくなくて急いで入った

「早いな」

ジャポン

健太くんが湯船に入り、私の背中にふっついた

「あったかいな。ほら冷えてんだから肩まで入って」

私をお湯の中に引きずり肩を下げた

「もう一人で海行かないこと。必ず行く時は俺と一緒な」

「うん…」

後ろから私の首に腕を回し、ギュッとしてくれた
それが私を安心させた
さっきまで離れようと思っていた健太くんが私を抱き締めてくれる
嬉しくてまた涙が出そうになったのを唇を噛みしめ耐えた


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