やさしい手のひら・前編【完結】
私達はお風呂から上がった

「亜美、ケーキあるんだぞ」

「ほんと?食べたい」

「待ってろよ」

健太くんはキッチンへ行き、準備をしてくれた

「うわぁ、おっきいー」

2人で食べるにはかなり大きく、高そうなケーキだった
健太くんはこんな立派なマンションに住んでいる
それも一人で。親がお金持ちなのかな?
健太くんのことを余りにも知らずにいた

ロウソクに火をつけようとしている健太くんに私は聞いた

「ねぇ、健太くんのおうちはお金持ち?」

「は?どうした急に」

「だって、一人暮らししてるし、こんな立派なマンションに住んでるし…」

健太くんは

「あとからちゃんと話すな」

私の頭を撫で、そう言った。私もそれ以上聞くことをしなかった

「よし、いいぞ。亜美、フッーして」

「えー一緒にしようよ」

「じゃ、一緒にするか」

私と健太くんはソッと近付き、『せーの』と言い合い、2人でロウソクを消した

そして近づいたまま私達は唇を重ねた



< 203 / 387 >

この作品をシェア

pagetop