やさしい手のひら・前編【完結】
健太くんが私から唇を離した瞬間

「ちょっと熱くね?」

「うん?何が?」

「お前、体熱いわ。熱あるぞ」

熱?さっきお風呂入ったせいじゃないの?キスして熱くなった?

「お風呂入ったからだよ」

「顔赤いし、唇が熱かったし」

「熱計って今日は寝ろ」

「やだ…せっかくのイブなのに…」

寝ろだなんて、悲しすぎる

「おいで」

私を抱き上げ、ベットまで運んでくれた

「ほら、熱計るよ」

ピッピッピッ

「やっぱりな。38度もあるよ。海にいて風邪引いたんだな…俺が悪い…」

「健太くんは悪くないよ。私が勝手に行ったんだから!」

「俺が一緒にいたら、海なんて行かなかっただろ」

「それは…」

「そばにい…て」

心細くなり小さい声で言った

「ちゃんといるし、一緒に寝るから安心して寝ること。わかった?」

「はい」

「ちょっと待ってろよ」

そう言って寝室から出て行ってしまった

健太くんとの初めてのクリスマスイブ。それなのに熱を出すなんて…情けなくて悲しくなって泣けてきてしまった

「また泣いてる」

「だって…だって健太くんと初めてのクリスマスイブなのに、熱なんか出しちゃってぇ…私バカみたい…」

「わかったから泣かないの。来年だって、再来年だって、一緒だろ。今日だけじゃないんだから。なっ、だから自分を責めるな」

優しい言葉を掛けてもらい、余計に涙が出てくる

「水枕して薬飲んで、明日熱下がったら買い物行こうな」

「買い物?うん、わかったぁ」

買い物と言われたことが嬉しくて健太くんの言うことをきくことにした



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