やさしい手のひら・前編【完結】
いつの間にか眠ってしまっていて、
ふと目を覚まし隣の健太くんを見た
私をすっぽり腕に包み込み寝ている

そんな姿がくすぐったくて、嬉しかった。私も自分の顔を健太くんの胸に置き、抱き付いてみた

手を動かしみると、右手が何かにぶつかり
指に違和感を感じた
自分の顔の前に手を出してみると…

「えっ!?指輪…」

右手の薬指にシルバーの指輪が付いていた

「健太くん、ちょっと起きて!」

「朝からなに?」

まだ眠いんだよっていう顔をして、片目で私を見た

「ゆ、指輪!」

「気付いた?昨日亜美が寝てからはめたんだ。俺からのクリスマスプレゼント」

「左指にしたかったけどやめた」

「えっ~なんで?」

「左指に指輪を付ける時は、俺がプロポーズした時に付けることにした。だから今はまだ右ね」

「やだぁ、左に付けたぁい」

「だめ!左指は俺と亜美が結婚した時。ちゃんと左指はあけといて」

照れ臭そうにそっぽを向いて言った

「わかった。約束だよ」

そう言い、健太くんの左小指に指切りをした

「俺も左指はあけてあるから。右は亜美と同じ物が付いてるんだよ」

「ほんと?」

健太くんは私の右手を掴み重ね合わせた

「これ、かなり有名な指輪だよね?ラブリング…こんな高価なものもらっていいの?」

「ちゃんと節約して貯めたんだ。ライブとかでも稼げたしな」

「ありがと、健太くん」

「鍵ないと指輪外せないから」

「えーほんとに?」

そうだ、ここの指輪は専用の鍵みたいなので取り外しするんだ

「俺の束縛」

健太くんはそう言って、フッと笑った

私は束縛でもいい
私を離さずにいてくれるなら私はいつまでも
健太くんの隣で笑っていたい。そう思ったんだ


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