やさしい手のひら・前編【完結】
「亜美、熱下がったか?」

私のおでこに右手を当てた

「熱計ってみよう」

ピッピッピッ

「うわーすげぇ熱!」

「え?ほんと?買い物行けない?やだ、買い物行きたぁい」

「うそぉー熱ないよ」

「もぉ~騙して!」

私は健太くんの頭をポカッと叩いてやった

「だるくないか?大丈夫なら買い物連れて行ってあげようかな」

また私をおちょくる

「行くもん。絶対行くもん」

「わかったから」

私を子供のように操る。でもそれが健太くんの優しさなんだ

「よし、風呂入って準備するか」

健太くんはさっさとお風呂に入って行った

ふと、指輪を見た
健太くんと付き合う前まで凌との指輪を左手にしていたから、
あえて右手に指輪を付けてくれたのかもしれない
過去であっても気にしているのかもしれない
そんなことが私には申し訳ない気持ちでいっぱいだった

「亜美入っていいよ」

「あっ、うん」

健太くんが上がったので私も入ることにした


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