やさしい手のひら・前編【完結】
交際
携帯のアラームで飛び起きた

9時待ち合わせで今は、7時半
余裕だな、と思いシャワーを浴びた


昨日の海で私の体は火照っていて、
日焼けした後がジリジリ染みた

何を着ていこうか悩みながらお風呂から上がり、部屋へ直行した

今日はスカートにしようと決め、
鏡を何度も見て大丈夫か確認した

初めてのデート。どうしたら良いのかわからない
でも凌がいるから大丈夫、と思った

また緊張の一日なんだろうな

あれこれ考えているうちに時間になってしまい、慌てて外へ飛び出した

昨日の歩道橋。昨日は片思いで凌に会った
。でも今日は違う。名前の呼び方も本郷から凌になった。彼女として会うんだ

胸が高鳴る。歩道橋の階段の下に立っている

腰まで下げたジーンズにキャップをかぶっている

その姿を見て私は動けなくなる

「亜美!」

私に気付いて優しく微笑んでいる

それだけで私は鼻の奥がツーンとして、また涙目になる

いちいちこんなことで泣いちゃいけないんだ
気持ちをグッと押さえて落ち着かせた

「凌、早い!」

私は凌に駆け寄って行った

映画館はそんなに遠くないので歩いて行くことになった



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