やさしい手のひら・前編【完結】
「亜美だけは誰にも譲れない。何があっても。だからもう本郷のこと言わないから」

「私以上の人が現れたら、きっと凌もその人のこと本気になると思う。ただ今はまだそういう人が現れてないからまだ私に依存しているだけで。凌には幸せになってほしいって思ってる」

「帰り嫌だったよな。ここに入った時、目が真っ赤だった。ずっと泣いてたんだよな」

また悲しくて泣いてしまいそうだ

「亜美は誰にも渡せねぇ」

健太くんは両手で私の両頬を挟み、
私の目を見つめた
私はさっきまでと違ういつもの優しい健太くんで安心した
流れる涙にキスをしてくれて、そのまま私の唇にも優しいキスをしてくれた

やっと私にも安心感ができ、健太くんがいるということだけで私はホッとした

「俺、帰るな」

「えっ・・・もう帰っちゃうの?」

「かわいいこと言うな」

健太くんが私のほっぺたを撫でる

「私も健太くんのうち行く」

「だめだ。ここからちゃんと学校行け」

「やだぁ」

私は今は離れたくなくてわがままを言った

「お願い」

「そんな上目遣いすんなよ。ちゃんと親に聞いてからな」

「うん」

私はそのまま下に降り、お母さんに聞いてみた



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