やさしい手のひら・前編【完結】
「亜美、喉渇いた」

休憩に入ったらしく健太は私達の所へ来た

「はい」

私はミネラルウォーターを渡し

「健太、喉は?」

「うん、大丈夫」

私はどうしても声を使う健太の喉が心配だった。本人はさほど気にしてはいないけど、健太の喉がおかしくなったら、歌を歌えなくなってしまうから健太以上に気に掛けた

「また沖縄で盛り上がってんの?」

「私達ばっか盛り上がって、亜美はぜんぜん乗ってこないんだよ」

由里が健太に言った

「亜美らしいな」

健太は笑って私を見た

「そんなの行けないのわかつてるからね」

「ほら~またそう言う!」

「行けなかったら俺が沖縄連れて行ってやるよ」

「ちゃんとお金貯めてからね」

お金を貯めてゆっくりでいい、私はそう思った



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