やさしい手のひら・前編【完結】
マンションへと向かう帰り道、

「嬉しい?」

「うん?」

「沖縄」

「めちゃくちゃ嬉しいよ。だけどなんかまだ信じられなくって」

「でも雑誌にちゃんと優勝って書いてあったから、嘘ではないだろ」

健太もいまいち、ピンとこないようだった

「2週間なんてあっという間だな」

「あっちはもう夏みたいな感じなんだよね?服とか買わなくちゃ…」

「亜美の水着もね」

「いやだぁー」

「俺が選んでやるからな」

「去年のあるし」

「去年のはだめ」

「もぉー」

去年は去年で凌との思い出があるから、やっぱり買った方がいいかな、と考え直した

「早く行きてぇ」

「ほんとだね」

私達はまだもうちょっと先の沖縄のことで頭がいっぱいだった



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