やさしい手のひら・前編【完結】
「ここよ」

タクシーがホテルに着き、田村さんが指を差した。降りてみると宮殿のような建物が私の目の前に現れた。とても立派でお姫様が出てきそうな感じで、見た目だけでも一度は泊まりたくなるようなホテルだった

「ここに泊まるんですか?」

「そうよ。気に入ったかな?」

「はい、とっても気に入りました!」

嬉しさの余り声まで大きくなってしまう

「すげぇ」

健太もホテルを見て、口をポカーンと開けている

「すごいね」

「うん。すげぇ」

目はホテルを見て、耳は私の話しを聞いていた

「さっ、私達は受付してくるから、ロビーで待ってて」

「はい」

私と健太はスーツケースを引きながら、宮殿のようなホテルに入った。ホテルの中もすごくて外国にいるんじゃないかと錯覚してしまうほど素敵だった

あまりのすごさにボッーとしていると田村さんに呼ばれた

「はい、キーね」

「はい。1077号室だって」

「10階かな?」

「よし行ってみよう」

「健太ーこっちだよ」

私は健太より先にエレベーターの前に行き、早く早くと健太を急かした


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