やさしい手のひら・前編【完結】
『離せ』と、言った瞬間、相手の襟を掴み睨んだ

「わ、わかったよ」

健太の迫力に負け、2人組の男達は慌てながら逃げて行った

腰が抜けてしまった私は、その場に座り込んだ

「一人にしてごめんな」

健太も私に合わせてしゃがみ込み、私を抱きしめ優しく包んでくれた

まだ怖さが残り、涙が流れ落ちる

「健太ぁー」

私もしがみ付き、やっと安心できた

「ごめんな」

謝る健太の顔が悲しい顔だった

「悲しい顔しないで。健太がいるからもう大丈夫だから」

「怖かったよな」

「健太がいるから…助けてくれたから…」

健太の目を真っ直ぐ見つめた

「わかったよ」

私の脇を持ち立たせてくれた

「クルーザー乗れるから行こう」

健太が私とはぐれないように強く手を握る。私も強く握り返した



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