やさしい手のひら・前編【完結】
昨日の疲れか、いつもより遅くに目が覚めた

隣には私に腕枕をしながら顔を私の方へ向けて寝ている健太が、まだ眠っていた

ソッと布団から抜けようと思い、健太に背中を向けた瞬間

ギュッ

「どこ行くの?」

目が覚めた健太が後ろから私を抱きしめ、足で私を絡ませた

「どこも行かないよ」

「だって布団から出よとしてたじゃん」

クルッと私を向かい合わせにし、

「まだここにいて」

「健太甘えてる」

「いいから」

私の頭を健太の胸に置かれ、健太の心臓の音が聞こえる

「亜美」

「うーん?」

「明日帰りたくねぇな」

明日の朝にはここを出ないといけない。私もまだ沖縄にいたい。でも三泊四日なので、やはり帰らないといけない

「また来たいね」

「来年また来よう。また同じこのホテルに泊まって、またクルーザー乗って…」

「うん!約束だよ!」
来年もまた健太とここに来れる。そう思うと嬉しくなった

「今日は泳ぎに行きたい!」

「そうだな、昨日泳いでないしな」

「うん、ご飯食べたら行こう!」

「待って、その前に」

ギュッ

「ンッ」

健太は私の頭を押さえ、キスをした。息を吸う暇もないぐらい長いキス

「ごちそうさま」

そう、言ってベットから出て行き、すぐに着替え始めた

私はやっと息を吸い、呼吸を整えた

「亜美早く着替えろよ」

「もぉ健太が悪いんだよ」

「俺なんにもしてねぇし」

健太はケラケラ笑っている

「フン、いいよーだ」

朝からおちょくられ、健太は楽しそうにしているので、私は気にせずさっさと着替えをした



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