やさしい手のひら・前編【完結】
「だったらそれをちゃんと健太くんに言わないと。どうせ健太くんに言ってないんでしょ?」

私は首を縦に振りウンと頷いた

「ちゃんと言いなさい」

「わかった」

健太を不安にさせたくない。いつも私を思ってくれる健太に嫌な思いをさせたくない

帰り道、健太は私の手を握ってくれている。いつもと変わらないけど目がどこかを見つめていて怒っているようにも見えた

「健太・・・私」

「うちに帰ってからでいい」

嫌な言い方をされた訳じゃないけど、私にはすごく冷たく聞こえてしまった

鼻がツーンときてしまい、泣きそうになる。でもここで泣いちゃいけないと思い、グッと堪えた

マンションに着いてからも健太は私と目を合わせてくれない。ただソファに座りたばこを吸っている

私は健太の前に行き

「健太聞いて・・・私ね、凌とは何もないし。私は健太だけだから・・・」

泣かないように我慢して私は健太に言った

「わかってる。わかってるけど、一緒のクラスになったとか班が一緒だとか考えたら、亜美があいつんとこに行くんじゃねぇかとか考えて・・・」

「行かない!私を信じて」

堪えていた涙が我慢できずに勝手に流れ落ちて来る

「俺、今でも自分に自信ねぇんだ」

私はこんなに健太を不安にさせていた

「私は健太のそばにずっといるから、だから・・・不安に・・ならないで・・・」

私は座っている健太をギュッと抱き締めた

愛しい。健太がこんなに愛しくって仕方がない。だからちゃんと健太にしがみ付いていこう

「私は健太のものだよ。健太・・・大好き」

そう言って私は健太の両頬を両手で挟み、私から健太にキスをした

私は健太に抱き抱えられ、健太の腿の上で跨いだ体制となった

「亜美・・」

健太も私の頬を挟み、顔を傾けゆっくりと私に近づきキスをした。舌が絡み合い私達は激しいキスをしていく

離れた瞬間、

「健太、私のそばにいてね」

おでことおでこをふっつけて、

「何があっても離さない」

そしてまた深いキスをした
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