やさしい手のひら・前編【完結】
「川崎さん達東京行くの?」

「決まったみたいだね」

「ここから芸能人が出るなんてすげぇよな」

私に気を使っているように見えた

「ほんとだね。すごいことだよね」

「一度ライブ見に行くか?」

「えっ?」

「最後だから笑って見送ってもいんじゃねぇ?」

急にそんなこと言われてしまい、なんて言っていいのか言葉に悩んだ

「最後のライブの時でいいよ」

「俺と一緒に見に行こう」

本気で言ってるのだろうか・・・凌の顔を見てみた

「何?俺が行こうって言うの変?」

「だって・・・」

「もう会えないだろ」

会えないのかもしれないけど、私はライブに行くことをためらっていた

健太は来てほしくないだろうと思ったから・・・

「坂下も同じ考えだと思う」

「由里も行くのかな・・・」

「多分ね」

由里が行くなら心強いと思った

この時はあんなことがおきるとは思っていなかった


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