やさしい手のひら・前編【完結】
「最後の高校生活だな」

「うん・・・そうだね」

「亜美、大学行くの?」

「うーん?」

「凌は?」

「俺か・・・何をしたいのか自分でもわからない。夢ねぇし」

凌はフッと笑った。その仕草が私に健太を思い出ださせる

「私ね、幼稚園の先生になりたいかな」

沖縄に行った時、私は幼稚園の先生になりたい、と健太に言っていた。その夢を叶えたい。今、私はそう思った

「亜美らしい」

凌の返事が沖縄で健太が言った言葉と同じだった

「だから短大とかになるね」

「短大か・・・」

「ここの短大だろ?」

私は一瞬、東京の短大・・・と考えてしまった。健太のいる東京の短大も受けれると思ってしまった。でも今更健太と同じ東京に行っても意味がない・・・そう思い

「うん。地元だね」

私は凌にそう答えた

早く健太を忘れなきゃと思うほど、逆に健太を思い出していた

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