やさしい手のひら・前編【完結】
「亜美、屋上行こう」

昼休み、由里に誘われ屋上に来た。由里は秘密の話になると私を屋上へ誘う

「やっと出てきたね」

「昨日、凌の家で突然テレビに出てさ。びっくりした」

「見たの?」

「写真が出てたよ」

「どうだった?」

「芸能人って感じ。ここにいた時とはみんなすっかり変わってた」

「そっか・・・」

なんとなく由里が寂しそうに見えてしまった

「健太痩せてた・・・」

「仕事きついのかな」

きっと祐介くんのことを気にしているんだろう

「祐介くんのこと気になる?」

「き、気にならないよ」

「嘘ばっかり。私には嘘ついても無駄だよ」

「・・・・」

由里は俯いていた。きっと祐介くんを忘れていない

「会いたいね・・・」

由里が私に呟いた。これが由里の本心だろう。由里も祐介くんのことを思っていて、忘れていなかった

私達はいつも思い通りに行かず、いつも引きずっていた

「もう会えないってね」

由里が背伸びをし、空に向って手を伸ばした

「空は繋がっているのに、私達は大好きな人に繋がってないね」

由里は笑いながら言ったけど、きっと後悔して悩んでいるはず

私と同じ・・・

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