やさしい手のひら・前編【完結】
次の日、重い足を一歩一歩前へ出し、凌に合わせる顔がないという罪悪感で学校へと向った

「おはよう」

玄関で由里に会い

「元気ないじゃん」

「うん・・・」

「よし、さぼって屋上行こう」

由里に手を引かれ、教室には行かず屋上へと来た

「何があった?」

「私、東京の短大に行きたくって・・・」

「ふーん それを本郷に言ったということね」

「うん」

「それで本郷が怒ったとか?」

由里にはなんでもばれてしまう

「地元にもあるだろって。私ね、ここにもいたくない。健太との思い出がありすぎる・・・でも健太の近くにもいたい」

「行きなよ。亜美の人生でしょ」

「でも凌が・・・」

「亜美と離れたくないなら本郷が追いかけてくるんじゃない?」

凌は地元の大学と言っていたので、私は追いかけて来ないと思った

「ほんとに東京でいいのかな・・・」

「いんだって。健太くんとどうなるとか本郷がいるからじゃなくて、亜美が行きたいとこ行けばいいの!」

「うん・・・」

やっぱり東京に行きたい・・・

「東京に行く!」

「それでいんだよ。私も東京だし」

「えっ!?」

「エヘヘ びっくりでしょ」

「坂下は?」

「私を追いかけて一緒に東京行くらしい。それで一緒に住むことにした」

「そっか・・・由里も決めたんだね」

みんなちゃんと自分の考えで決めている

「ちゃんと本郷と話合ってさ。亜美の気持ちを言いなよ」

「うん」

今日もう一度きちんと凌と話し合おう。凌が反対しても私は東京へ行きたいという気持ちを伝えなければいけない
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