やさしい手のひら・前編【完結】
いつも帰る時は教室に迎えに来てくれるのに凌が来ない

廊下に出てみると

山本さんと凌が一緒にいる
しかも凌の腕にしがみ付いている

私の凌に触らないで。私は目を反らしてしまった

「亜美」

私に気付いて山本さんの手を振りほどいた

「帰ろう」

「本郷先輩、私と帰って下さいよー」

また腕に手を回そうとした瞬間

「なんで、あんたと帰らないとだめなの?俺には亜美がいるんだから近寄るな」

「ひどぉい。亜美先輩、私も一緒にいいですか?」

「えっ?」

「亜美、行くぞ」

私の肩に手を回し玄関に向かった

振り向いて後ろを見たら、すごい顔をして私を睨んでいた

凌は悪くないのに凌に腹が立つ
断っているのも知っているのに、
すごく嫌な気分になった



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