あにちゃん先輩
入学式
ジリジリジリジリーー!!
目覚まし時計がけたたましく室内に鳴り響く。
布団が小さな山をつくり、それは規則正しく上下していた。
ジリジリジリジリーー!!
まだ起きない、そろそろ近所迷惑なんじゃないかという時、
ジリジッダン!
上から振り下ろされた手は目覚まし時計が壊れるくらいに強く叩きつけて止めた。
この手の主からは若干の苛つきが感じられた。
もぞもぞと動き出し、やっと起き上がった。
「ふゎ・・・んーー!」
大きく伸びをして寝ぼけ目で頭の近くに置いてあった携帯を手探りをしてようやくそれらしき物に当たり、携帯を手に取ると少し操作をした後に声が聞こえてきた。
『おはようハル。
家の戸締まり・ガスの元栓はしっかり閉めてね。今日も1日頑張って!!俺も仕事頑張って行って来るね!!家の事、よろしくね。バイバーイ!プツップーップーッ』
それはとても優しく、頭の中にすぅっと入ってくる様な声だ。
これは日課で、この声でいつも朝を迎える。
(一体何回この言葉を聞いただろう。いつも裕にいのおはよう、と言う声を聞かないとしっかりと目が覚めない。
お陰で今でも兄離れ出来ていないし。)
「はあ…そろそろ兄離れしなくちゃ。高校生にもなるというのに」
短いため息を吐き、携帯を閉じた。
外から雀の鳴き声が聞こえてきて、窓へ向かった。
シャッとカーテンを開けて、朝日を浴び、少し眩しいのか片手で顔の前に影を作った。
空気を入れるために、窓を開けて新鮮な空気を吸い込む。
(んー・・・清々しい朝ですなぁ)
外で雀が二匹仲良く木の枝にとまっているのに目がいった。
一匹は片方の翼を広げ羽を整えていた。もう一匹は首を左右に動かしている。二匹とも見ていて可愛いらしい。
笑みを浮かべてそっと手を伸ばすと驚いてバサバサと翼を広げて空高く逃げて行ってしまった。
「行っちゃった」
もう興味がないのか直ぐに体の向きを変えて、そのまま洗面所へと歩きだした。
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