あにちゃん先輩
ふと、途中である事を思い出し、足を止めた。
そして部屋に戻りまた携帯を取り開いた。
AM8:52
「ひっ」
悲鳴の様な驚きの声が上がった。その顔は次第に青ざめていき、次の瞬間には学校に行く準備を猛スピードで始め出した。
(やややばいやばいやばいやばいばいっ)
急いで真新しい制服に袖を通し、その間にズボンを脱いでさっとスカートをはいて、留め金に留めようとするが焦っているのかなかなか留まらない。
「くぁー!もー、なんっで掛からないの‼︎」
次第に苛々としてきて思わず叫び声を出していた。
(いや、おおちつけとりあえず落ち着け!)
そして少し冷静になり、着々と準備を進めていき、鞄を引っ掴んで部屋を後にし洗面所へ駆け込んだ。
顔を洗って鏡を見た。
「うわー、やっぱり跳ねてるじゃん」
そこには、真っ黒な髪を肩で切り揃え、ところどころピョンと寝癖が跳ねた普通にしていれば愛らしい顔を歪めた少女が水滴まみれで写っていた。
寝癖を直そうと手櫛で何度か試してみたが、どうやら直らないと思ったらしく、諦めた様に一つ小さな溜め息をついた。
だが我に返り、こんなのんびりしている状況じゃなかったと思い出し、ゴシゴシと顔を拭いて玄関へと急いだ。