悲しいライオン
Ⅴ.
それからというもの、雌ライオンと子供達は毎日のように群れを訪れるようになりました。
子供達は、その群れにいるのが当たり前のようになり、雌ライオンも、いつしか若い雄ライオンに寄り添うようになりました。
そして、その姿は、益々美しく、溢れるような色香を放つようになっていました。
一方、雄ライオンはそんな妻と子供の事には、全く気付かず、毎日汗だくになって狩りを続けていました。
毎晩大きな獲物をドスンと棲家に転がすと、美しい妻と子供達の顔を見ながら眠りに落ちていきます。
雄ライオンには、それが至福の時でありました。