悲しいライオン
「最高の棲家と、最高の食事を確保するのが父親の役目だ。
無いものねだりをするのは、やめてくれ!」
雄ライオンは、ガオーと一声威嚇すると、棲家を後にしました。
(一体、何が不満なんだ。
ああしてあいつが美しくいられるのは、俺のお蔭ではないのか?
子供達がふくふくと太っていられるのは、俺の獲物を食べているからではないのか?)
サバンナの風は冷たくなっていました。
雄ライオンは夜の高原をとぼとぼと歩きます。
ふと、大きな木の根元を見ると、一匹のハイエナが残り物の獲物を食べているのが見えました。
(ふん。
世の中には、あんな卑しいヤツだっているのだ。
それに比べたら・・・)