悲しいライオン
ある時、彼は蒼い森の外れで、若いライオンの群れに出会いました。

そして、その群れの中に一匹の美しい雌ライオンを見つけました。

明るい彼女の声は、遠くからでもよく聞こえ、陽気な彼女の周りには、いつも笑顔が溢れていました。

ただ一匹で過ごしてきた雄ライオンには、彼女の姿はとても眩しく新鮮で、いつしか彼の瞳は彼女を追いかけるようになっていました。

そして雄ライオンは、彼女を見る度温かい気持ちになる自分に気付き始めました。


一方の雌ライオンも、そんな雄ライオンの姿が気になるようになりました。

（何故、彼はいつもこっちを見ているの？）

遠くに見る雄ライオンの姿は、雄々しく美しく、王者の風格を備えていましたが、その背にはどこか寂しい影が漂っていました。

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表紙・目次

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