悲しいライオン
子供達は、こっそり雌ライオンに呟きます。
「ねぇ、ママ、隣の群れに遊びに行きたいよ。
ママだって、あのお兄さんに会いたいでしょ。」
「でも、パパが遊んでくれるでしょう?
我が儘言ってはダメよ。」
雌ライオンは子供達をたしなめますが、その胸の中には、若い雄ライオンとの楽しい日々が片時も離れる事はありませんでした。
(あの人に、会いたい・・・会いたい・・・会いたい・・・)
雌ライオンは、雄ライオンがどんなに顔を摺り寄せて来ても、もうそれを受け入れる気にはなりません。
彼女は段々生気を失っていきました。
雄ライオンは、そんな雌ライオンを見ているうちに、ハイエナの言っていた事は本当なのだと思い始めました。