悲しいライオン
Ⅶ.
翌朝、雄ライオンは、雌ライオンに言いました。
「僕は、今日、この棲家を出る。」
雌ライオンは驚きました。
まさか、雄ライオンの方からそんな話をしてくるとは思ってもみなかったからです。
「でも私達、あなたがいなかったら、食べていけないわ。」
実際、雄ライオンがいなくては、今まで通りの獲物にありつける見込みはありません。
「心配しなくていい。
獲物は、毎晩お前達が寝た後に、そこに置いて行くから・・・。」
雄ライオンは約束しました。
それなら・・・と、雌ライオンは小さく頷きました。