悲しいライオン

次の日、雄ライオンはサバンナで鹿の群れに出会いました。

雄ライオンは、いつものように体制を低くして群れを待ちます。

そして、最後の一匹が群れから少し離れた瞬間に、その後ろ足を大きく蹴りました。


（?!!!　あ、足が動かない!!）


雄ライオンの体は、まるで鉛をつけたように重く、どんなに動かそうと思っても、思うように動かす事が出来ませんでした。

鹿の群れは、どんどん遠のいて行きます。

雄ライオンは、その場に立ち竦んで嗤いました。

（ははは･･･なんて、滑稽なんだ･･･。
この俺が、鹿ごときを逃すなどと･･･。
この俺が･･･。）

雄ライオンの体は、長い激しい狩りの為にぼろぼろに疲れきっていたのでした。