悲しいライオン

雄ライオンは、もう狩りを諦めました。

その体は、徐々に衰え始め、美しかった毛並みは見る影も無く汚れ、その目は泥水のように濁っていきました。

雄ライオンは思っていました。

(またいつか、あいつに、子供達に会いたい・・・。
会いたい・・・。
会いたい・・・。)

サバンナには、ちらちらと雪が降り始めました。

雄ライオンは、岩の陰に身を寄せて、じっと蹲っています。

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