悲しいライオン
Ⅱ.
そんなある夜のこと。
雌ライオンは、何故か火照って眠れない体を冷ますため、森のほとりの湖に来ていました。
湖の水を浴びながら、雌ライオンは考えていました。
(どうしてこんなに気持ちが高ぶるのかしら・・・。 どうしてこんなに体が熱いの?)
その時です。
葦の穂がガサガサと揺れて、その間から、あの雄ライオンが姿を現しました。
「どうして・・・!」
雌ライオンは咄嗟に自分の火照った体が恥ずかしくなり、急いで葦の茂みの中に身を隠しました。