悲しいライオン

(ああ・・・、なんだか寒くなってきたな・・・。
あいつは、子供達は、暖かくしているだろうか・・・。
ちゃんと食べているのだろうか・・・。)


そして、こう思いました。

(もう一度、もう一度だけでいい。
振り向いてほしい。
その目で俺を見てほしい・・・。

どうしたら、どうしたら、お前に振り向いてもらえるだろう・・・。)

雄ライオンは、渾身の力を振り絞って一声大きく吼えました。



ガオォォォォーーーーン



その声は、どこまでもどこまでも響いて行きました。

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