悲しいライオン

雌ライオンは、若い雄ライオンの腕の中で、ふと顔を上げ耳を澄まします。

「どうしたの?」

若い雄ライオンは尋ねます。


「ううん。 何でもないわ。
今日の風の音は、なんだか悲しい響きね。」

雌ライオンは、そう答えると、また若い雄ライオンの腕の中に顔を埋めました。


雪は静かに静かに降り続け、サバンナを白く、どこまでも白く染めていきました。



FIN.
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