悲しいライオン
雄ライオンは続けます。
「君を、ずっと見ていたんだ・・・。
君に、ずっと触れたいと思っていた・・・。」
雌ライオンは葦の穂の隙間から覗く、大きくて逞しい足を見ました。
雌ライオンは体の奥が疼くのを感じました。
ガサガサ・・・
雌ライオンはもう、その体の意志に背くことは出来ませんでした。
初めて目と目を合わせた二匹は、お互いの胸の奥にあるものが堰を切って溢れ出すのを感じました。
二匹は、言葉も無く、鼻先を合わせ、首を擦り合い、熱い息を通わせ、そしてその体を一つにしました。